前回までのあらすじ

Vスト650死す!デュエルスタンバイ!
Vストくんを無事レッカーに叩き込んで後は帰るかレンタカーでも借りるか・・・といった選択肢となるが、

もちろん、バイクを借りるよね・・・・!
スズキ Vストローム250SX
お借りしたのはVスト250ファミリーの新作Vストローム250SX(以後250SX)。Vスト650、名誉VストことGSR250Sに乗ってきた身としてはこの令和最新エディションを選ぶ義務があると言っても過言ではない。隣に置いてあるニダボ選ばなかった自分を褒めて欲しい。

早速各部をねっとり観察してみよう。フロントはみんな大好きクチバシに交換しやすそうなスクリーン、おまけにハンドガードとアドベンチャースタイルを感じさせかつ実用的装備を揃えている。無印Vストとの大きな違いであるヘッドライトはジクサーの物と(たぶん)共通のホームベース型LEDランプ。ご存じコストカット術でしょうね。

メーターはフル液晶になった。電圧計があるのが嬉しい位でこれと言った特徴は無い。
メーター横にはUSB-A穴が標準装備されていてありがたいのだが、メス穴が飛び出していてそこに接続するという妙な構造をしており使いにくそう。シガソケの方が好きに拡張できるから好み。
あと最近の車両にしては珍しくハザードランプが付いていない。

フロント19インチタイヤとバイブレブレーキを装備。このオフロード感あふれるセミブロックタイヤはインドのマキシス社製だそうだが日本では販売していないようだ。交換時は店舗取り寄せ必須になるのかな。

リアはいつもの角材スイングアーム、ジクサー系列と同じマフラーを装備。後輪もABS付いてる。

シートはVスト系唯一の分割型。地味に専用シートとなっておりSXの刻印がしてある。滑り止めは悪くなくタンデム側のとんがりが低めなので積載性は分割シート族の中では良さそう。
当然の権利でリアキャリアは標準装備。GIVIベースを取り付けてね!と言わんばかりにボルトが通りそうな穴が4か所開いている。
初乗車です

跨って最初に感じるのはオフ車並みに悪い足付き。なにせシート高はVスト650より高い835mmもある。まあ大分軽いので実用上は問題ないだろう。・・・と乗ってる間思っていたが実際の車重は水冷二気筒のMT-25やZ250と同クラスの164kg。部品点数が少ない油冷単亀頭なのに同じ重量という...噂を?(困惑)
そして気になるのがアイドリング時の死にかけの動物みたいな弱弱しい音色。キュルルル....キュ....キュル...という不安定で妙に甲高い鳴き声がエンストの不安を演出してくれる。

足つき悪いゆえゴーストップの多い市街地では轍や斜面に都度気を使う事となりあまり気持ち良くない。前述の通り軽いので立ちごけの危険を感じる程ではないのだが(重要)
またGSR250にもあった停止時にNに入らない悪癖が受け継がれており信号で止まる→N入れようとすると1速と2速を延々往復することになる。対処するにはあらかじめにNに入れて空走するか諦めてクラッチ握りっぱなしにするなど。当職は慣れっこだが冷静に考えるとなかなかのクソ仕様だな。
その辺を考えなくて済むワインディングではご自慢の油冷単気筒エンジンが結構気持ちよく回り、重心も高めなのでひらひら曲がり楽しい。程々にバンクさせて遊んでみたがセミブロックタイヤで調子に乗ると散るのでもっとやりたきゃジクサー250SF買えって事でしょうね。
このひらひら感+ハンドルがずいぶん軽い特性で狭隘路やUターンがストファイネイキッドのように楽ちん。ハンドル角も深いので1車線道路で突然気さくなフルロックUターンを行い4輪車を怖がらせましょう!
その他
- サイドスタンドが死ぬほど下ろし辛い。ステップの真下にスタンドの足掛け部分が来る謎の構造をしており可倒式ステップを倒す→スタンドに足をかけ下ろす、という二度手間儀式が必要。
- ミラーが見やすいのと、ポジが直立姿勢なので前横後ろ確認しやすい。やべードライバーが多い四国の街を安全に走れる。
- カウルやスクリーンの防風性能は胸下辺りまで。普通のツアラーって感じでアドベンチャーレベルの防風性能ではない。ナックルガードもそこそこ風を巻き込む印象。
- 燃費は30km中盤くらい。250cc単気筒だと標準的な感じ。
- エンジンブレーキが気持ち弱く通常のブレーキを多用した。
- 5500回転(3速60km)周辺でビビリ音が発生する。あまり使わない領域なので問題ないが。
総括

250ccで期待される全ての用途を70点ぐらいで出来るバイク。
市街地はネイキッドに劣り、峠はスポーツバイクに劣り、長距離性能はアドベンチャー系ツアラーに劣り、オフロードはオフ車に劣ると圧倒的な器用貧乏を誇る。
なので自分の好きな走り方が理解っておりしかも複数台持つような熟練バイク界隈にとってはこれほど優先度が低くなるバイクもないだろう。例として当職は長距離は大型ツアラー、近距離用にちっこいネイキッドと適合バイクが具体化できているのでそれぞれの用途でツアラー以下、ネイキッド以下の250SXが入る余地はどこにもない。
しかしその全てを1台でとりあえず行える、という事に非常に価値がある。そもそも殆どの人はバイクを一台しか持たないし、その制約下でアレもやりたい!コレもやりたい!と思い付きの好奇心が芽生えた際、とりあえず手持ちのバイクで試すことができるのは心強いといえる。
もし自分が免許取りたての頃に戻ったら真っ先にこのバイクを選ぶだろう。そして数年後に自分の好きなカテゴリのバイクに卒業していく、そんなバイクだなという感想だった。ポケモンで例えるとイーブイ。